筋書きのないドラマ、筋書きのあるドラマ-映画編-

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「ガール」 いつ大人になるのか。

30歳目前で焦りを募らせる大手広告代理店に勤める由紀子、大手不動産会社で管理職に抜擢された34歳の聖子、老舗文具メーカーに勤め、ひと回りも下の新入社員の教育係になった34歳の容子、営業職に復帰したシングルマザーの孝子。仕事人として、女性として、彼女らはそれぞれ日々戦っている
監督:深川栄洋 出演:香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由香



感動的とか悲しいとか、そんなわけではまるでないのに、
気づくと目が潤んでいた
思い出したんだと思う。
この主人公達よりももう少し若い頃だけど、
「切ないOLに捧ぐ」(内舘牧子著)にどっぷりきたときのことを。

今じゃ、そういう悩ましい年代を通り過ぎちゃって、
「それが何だ、だからどうした」と開き直りにも似た鈍感ぶりなんだけど、
確かにあった。
同じような切なさが。

女性が自分の立ち位置や意義みたいなことに悩むのは、
時代を問わず、普遍的なことなんだな、と思った次第。
昔よりは対象年齢が上がってきている気がするけど。


映画は面白かったです。
ただ、、、
以下の感想はかなり辛口。




これは30歳目前から30代後半あたりの女性の悩み、葛藤、戦いを描いた映画。

とはいえ、香里奈ちゃんのようなトップの売れっ子が「イタイ」というのは
ちょっと嘘くさすぎる気もするのだが。
かわいいキラキラ好きの女子がよく似合っていて、
あまりイタく見えなかったしね。

他の女性も、もう一つ感情移入しきれなかったのは、
何というか、ステレオタイプにしか見えなかったから。
原作からは、もっと働く女性のリアルな苦労が伝わってきたように思う。
実は読んだのはずいぶん前なので、いろいろ忘れちゃってるのだが
その「イタさ」がすごく男目線な気がして、
微妙に女性心理からずれてるように思えたのは覚えてる(男性作家だからね)。

映画は女性心理はそこそこ胸に迫るんだけど、
どっかで見たようなありふれた話にありふれた行動、ばかり。。。

特に板谷由香さん演じるシングルマザー孝子が、ホントに当たり障りなく、
「父親がいないことで子供を寂しがらせたくない何でも頑張るママ」になってて。
確か、原作ではもう一歩踏み込んで、降りたくなかった「錦の御旗」を使ってしまったはずなのに。
それがリアリティ溢れる苦労話だと感じただけに、映画の孝子は物足りなかった

また、麻生久美子さんの女性管理職聖子の話も、
ああいうキレ方は、またああいう男の餌食になるだけかと。
「女はヒステリー起こすから」とか言われるのが目に見えてる。
あのくらい偉くなる女性は、そのくらいのこと心得ていると思うけどね。
ただ、原作での聖子の話は全く覚えてない……

容子というのはおしゃれが面倒になっていつもラフな格好なんだけど、
吉瀬美智子さんだから、それでもすごいきれい。
映画館を出たところで、若い女の子達が言っていた。
「(林遣都くんに)色目を使っていた女の子達みたいなブスなら、
年取ってても吉瀬美智子のほうがいいよね」と。
やっぱりイタイ感じがしなかったんだよね。。。
(ちなみに林遣都くん、こんな鑑賞されるだけの役、もったいなくないですか

男性陣も何だか現実離れしてるかも。
聖子の夫や由紀子の恋人は、女性がこうあって欲しいと思う男性像になってて、
非常に物わかりよく、ご都合のよい男性という感がぬぐえず。
(上地くんと向井くん、ハマッてたけどね
孝子の敵役の男も、ストーリーの都合のために、
頭にきて当然の「悪役」に仕立て上げられた男性、な感じがして。
ああまでやったら同じ男性でも「できる」とは評価しないと思うし、
ああいう男は、絶対にあんなに簡単に謝りゃしないと思うよ。
(要くんもハマッてたけど……ってほめ言葉になる???)

その場に流される取引先のお偉いさん段田安則さんと、
身も蓋もないデリカシーのない上司モロ師岡さんのお二人だけが、
実際いそうな男性で、おかしかった

一番気になっていたのは、原作の中でもっともイタイ女。
それを壇れいさんが、爽快に演じてくれていた
10代の服で着飾って、見た目も仕草も若作り、仕事も媚びを売って取る。
原作のイメージ通り。

本で読んだら、「こういう女、嫌いだな~」と、女性なら誰でも思ったんじゃないかな。
映画では若い後輩女性に眉をひそめられていたが、
確か原作でそうしていたのは男どもだったと思う。
ったく男って、自分は年食ってて見た目も「鏡見たことあんの?」的なくせに、
「女は若くないとダメ」とのたまうバカがそこかしこにいるよな、と
腹が立った覚えがある。

でも映画のこの彼女は、思い切り突き抜けていて、堂々と自分を好きでいて、
とっても魅力的だった

あと、映像として面白かったのが、
最後に開かれるファッションショーでのエスカレーターのシーン。
立っているだけで姿が現れてくるはずなのに、段を後ずさり、
いつまで経っても足しか見えない。
欠員モデルの代役として立ったデパートの女性社員さんの、
ためらいと恥ずかしさがよく出ていた。



ところで、
ここに出てくるのは、ちゃんと正社員の職を持っている女性達だけ。
派遣やパートという非正規社員やフリーの立場の視点が抜け落ちている。
そこを触れるととても尺が足りないのかもしれないけれど(原作にもなかったと思う)、
働く女性を語るときには、もう欠かせないところじゃないかな。

そうして女性は、昔よりかはずっとずっと様々な人生、働き方を選べるようになった。
でも、「選択肢が増えた分、どの道を選んでも、別の道もあったのではと思ってしまう」
という言葉には、大きくうなずけてしまった
自由になったように見えて、その分つきまとう後悔も増える。
結局、後悔のない人生なんて、ないんだよね。

「ガール」から大人になるのはいつ、どんなとき。
それは結局、こんな価値観が多様な時代には答えられない疑問なのかも。





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